生物用語解説

「ふ」ではじまる用語

[ふぃーどばっく]feedback

ある一連の生体反応において,最終産物などが一連の反応の初期の反応に影響を与えること。酵素反応の制御や恒常性の維持などに重要な働きをしている。

[ふぃぶりん]fibrin

繊維状のタンパク質で,血液凝固のとき,赤血球や白血球などをからめて血ぺいをつくる。フィブリノーゲンにトロンビンが作用してできる。

[ふえいようか]eutrophication

水域において,水中の栄養塩類(窒素・リンなど)が多い状態になること。生活排水などから栄養分が多量に流入すると,植物プランクトンなどが増殖し,その死がいの分解に伴って溶存酸素が消費しつくされるなど,水質の悪化を引き起こす。

[ふぇろもん]pheromone

体外に分泌されて,同種の他個体に特有の反応を起こさせる物質。昆虫においてよく研究されており,配偶行動を導く性フェロモン,集団を形成する集合フェロモン,えさまでの道を示す道しるべフェロモンなどがある。

[ふくこうかんしんけい]parasympathetic nerve

自律神経系を構成する神経の1つで,安静時,疲労回復時などに働く。交感神経と拮抗的に作用して,器官の働きを調節する。副交感神経の神経伝達物質アセチルコリン

[ふくこん]ventral root

脊髄の腹側から出る神経の束。おもに運動神経からなる。背根の対語。

[ふくそう]diploid phase

染色体を2セットもつ場合の核相。2と表す。受精が終わってから減数分裂までの状態。単相の対語。

[ふしょく]humus

土壌中に存在する,生物が分解されてできた有機物。腐植に富む層(腐植層)は黒褐色で,地表の表層にある落ち葉が朽ちた層(落葉層)の下にある。

[ぶっしつせいさん]matter production

生態系において生産者が有機物をつくり出すこと。緑色植物の場合,光合成により有機物がつくられる。

[ふとうかつ]unequal cleavage

違う大きさの割球ができる卵割等割の対語。

[ふはい]putrefaction

微生物が,酸素を用いないで有機物を分解し,エネルギーを得る際,ヒトにとって有益なものがつくられない反応。タンパク質が分解される際,含まれる窒素や硫黄から,アミン類や硫化水素のような悪臭を放つ物質が生成される。

[ぷらすみど]plasmid

核様体や染色体とは別に存在している環状DNA細胞内で自律的に複製され,子孫にも伝達されるが,通常は生存には必要ない。遺伝子組換え実験において,ベクター(外来のDNAを細胞内に運び,増幅させる役目をする小型DNA)として用いられる。

[ぷろぐらむさいぼうし]programmed cell death

発生過程の決まった時期に,決まった場所で起こる細胞死。プログラム細胞死の多くは,アポトーシスとよばれる積極的な細胞死によって起こる。

[ふろりげん]florigen

花芽の形成を促進するタンパク質。葉でつくられ,師管を通って茎頂に移動し,花芽形成に関わる遺伝子発現を促進する。分子量が大きいため,一般に植物ホルモンには含まれないが,フロリゲンを植物ホルモンの1つとする考え方もある。イネのフロリゲンはHd3aというタンパク質,シロイヌナズナのフロリゲンはFTというタンパク質であることが明らかになっている。

[ぶんか]differentiation

多細胞生物において,細胞や細胞群が,形態的,機能的に特殊化した状態になること。発生過程で顕著に見られる。

[ぶんかいしゃ]decomposer

生態系における生物の役割による分類。消費者のうち,生物の遺体や排出物などの有機物を分解して無機物にする過程に関わる菌類・細菌類などの生物。分解者がつくった無機物は,植物の無機養分として再利用される。

[ぶんしけいとうじゅ]molecular phylogeny

DNAの塩基配列や,タンパク質アミノ酸配列の違いを比較し,類縁関係を図示したもの。分子時計により,系統が分岐した年代を推定できる。

[ぶんししんか]molecular evolution

進化におけるDNAの塩基配列やタンパク質アミノ酸配列の変化。

[ぶんりのほうそく]law of segregation

配偶子の形成にあたって,対立遺伝子はそれぞれ分離して別々の配偶子に入るという法則。メンデルが発見した遺伝の法則の1つ。