生物用語解説

「か」ではじまる用語

[かいそうこうぞう]stratification

発達した森林は,高木層,亜高木層,低木層,草本層などの層に分かれる。この高さに沿った構造をいう。

[かいとう]glycolysis

乳酸発酵と同じように,グルコースを酸素を使わないで乳酸まで分解する反応。動物の筋肉でATPを合成する際に起こる。

[かいとうけい]glycolytic pathway

グルコースを,酸素を使わないで(嫌気的に)ピルビン酸まで分解する代謝過程。エムデン・マイヤーホフ経路ともいう。

[がいはいよう]ectoderm

三胚葉性の動物の発生時に生じる3つの胚葉のうち,最も外側に位置するもの。将来,表皮や神経などになる。ほかに,中胚葉内胚葉がある。

[かいはくしつ]gray matter

中枢神経系において,ニューロンの細胞体が集まっていて灰白色に見える部分。白質の対語。大脳では内側(大脳髄質)が白質,外側(大脳皮質)が灰白質,脊髄では内側が灰白質,外側が白質。

[がいぶんぴ(つ)せん]exocrine gland

排出管を通じて体外へ物質を分泌する上皮組織。消化腺,汗腺など。

[がいらいせいぶつ]alien species

本来生息していなかった土地に,意図的あるいは非意図的に導入された生物。在来生物の対語。

[かがくごうせい]chemosynthesis

光エネルギーで炭酸同化を行う光合成とは異なり,無機物を酸化したときに放出されるエネルギーで炭酸同化を行う作用。

[かがくごうせいさいきん]chemotrophic bacteria

無機物を酸化して生じる化学エネルギーを利用して炭酸同化を行う細菌。亜硝酸菌,硝酸菌,硫黄細菌,鉄細菌,水素細菌などがある。

[かがくしんか]chemical evolution

無機物から有機物が合成され,生命が誕生するまでの過程。一般に,水や二酸化炭素などの無機物,アミノ酸ヌクレオチドなどの単純な有機物,タンパク質や核酸などの複雑な有機物,原始生命の順に進んだと考えられている。

[かぎしげき]key stimulus

生得的な行動を引き起こす,特定の刺激。信号刺激ともいう。

[かく]nucleus

真核細胞にある核膜でおおわれた構造。核膜には多数の穴(核膜孔)がある。内部に,染色体,核小体などを含む。染色体は,おもにDNAタンパク質からできている。DNAは遺伝子の本体であり,細胞全体の代謝を支配している。核小体ではrRNA(リボソームRNA)をつくっている。

[がくしゅう]learning

経験によって,行動が変化すること。慣れ刷込みも学習に含まれる。

[かくとくめんえき]acquired immunity

適応免疫

[かせいほるもん]flowering hormone

フロリゲン

[かたらーぜ]catalase

過酸化水素の分解を促進する酵素。酸素を用いた呼吸は生体に有害な過酸化水素を生じる。そのため,呼吸をする生物に広く存在する。

[かっきゅう]blastomere

受精卵の連続的な体細胞分裂卵割)によって生じる未分化の細胞。おもに胞胚期の前までのものをいう。

[かっせいかエネルギー]activation energy

化学反応が起こるのに必要な最低限のエネルギー。化学反応が起こるとき,反応物はエネルギーの大きい中間段階(活性化状態,遷移状態)を経て生成物になる。このときの反応物と中間段階のエネルギー差が活性化エネルギーに相当する。

[かっせいぶい]active site

酵素基質と結合する部位。活性中心ともいう。

[かつどうでんい]action potential

ニューロンなどが刺激を受けると,細胞内外の電位が瞬間的に逆転する。このときの,静止電位からの電位変化。

[かふん]pollen

種子植物の粒状の雄性配偶体。被子植物ではやくとよばれる袋状の構造の中につくられる。

[かるびんかいろ]Calvin cycle, reductive pentose phosphate cycle

植物などの光合成において二酸化炭素を固定する回路。カルビンとベンソンによって解明された。還元的ペントースリン酸回路ともいう。

[かんかくしんけい]sensory nerve

受容器で受けた刺激を中枢神経系まで伝える末梢神経。脊髄では背根を通る。

[かんきょうあせすめんと]environmental assessment

道路や発電所の建設などの開発事業を行う際,環境への影響を事前に調査・予測・評価すること。環境影響評価ともいう。

[かんきょうえいきょうひょうか]environmental (impact) assessment

環境アセスメント

[かんきょうけいせいさよう]reaction

生物が非生物的環境(温度・光・大気・土壌・水・無機養分などの生物以外の環境)におよぼす影響。たとえば,ケイ藻類の個体数が増加すると無機塩類の量は減少することなど。作用の対語。

[かんきょうしゅうようりょく]carrying capacity

成長曲線

[かんさいぼう]stem cell

未分化な状態を保ったまま,増殖する能力をもっていて,複数種類の細胞に分化することができる細胞。たとえば,造血幹細胞は,増殖して自己を保存するとともに,すべての血液細胞に分化できる。また,あらゆる組織の細胞へと分化できる性質(多能性)をもつ幹細胞を多能性幹細胞という。ES細胞iPS細胞は多能性幹細胞である。

[かんせつこうか]indirect effect

捕食・寄生・共生などの関係で直接つながっていない生物間で影響をおよぼすこと。

[かんぜんきょうしゅく]complete tetanus

筋肉への刺激頻度を大きくすると,単収縮が重なって,なめらかな一続きの大きな収縮になる。このような筋肉の収縮をいう。

[かんたいさいぼう]rod cell

網膜にある視細胞の1つ。光に対する感受性が高く,暗いところでも働く。網膜の全体に多く分布。「桿」は木の棒(さお)の意味で,その形状に由来している。もう1つの視細胞は錐体細胞

[かんにゅう]invagination

動物の発生で,原腸胚初期に表層の細胞群が内側に入りこむこと。入りこむ場所を原口という。

[かんのう]interbrain, diencephalon

大脳中脳の間に位置する中枢神経。間脳の視床は感覚神経を大脳へと中継しており,視床下部自律神経系や多くのホルモン分泌の中枢である。