生物用語解説

「き」ではじまる用語

[きーすとーんしゅ]keystone species

生態系内での個体数はそれほど多くないにもかかわらず,他の生物の個体数や多様性などに大きな影響を与える

[きこう]stoma

孔辺細胞の間のすき間。炭酸同化呼吸,蒸散のために,空気,水蒸気の出入りを行う。

[きしつ]substrate

酵素が作用する物質。たとえば,アミラーゼの基質はデンプン。

[きしつとくいせい]substrate specificity

酵素活性部位基質が,かぎとかぎ穴のような関係にあるため,酵素は特定の基質に対してのみ働く。このような酵素の性質をいう。

[ぎゃっぷ]gap

発達した森林で,倒木などにより林内に光が差しこむようになった空間。比較的大きなギャップでは,林床に光が差しこみ,陽樹の種子が発芽し成長することができる。

[ぎゃっぷけつごう]gap junction

細胞接着の一種で,隣接する細胞細胞膜を貫通するタンパク質(コネクソン)どうしが結合する結合様式。コネクソンは中空で,イオンや低分子の物質が通過して細胞間の情報伝達を行う。

[きゅうかく]olfactory sense

においの感覚。揮発性の化学物質が嗅覚器の感覚細胞(嗅細胞)を刺激することで生じる感覚。

[きゅうこうどうぶつ]protostome

発生初期に生じる原口が,そのまま成体の口になる動物の総称。原口動物,前口動物ともいう。

[きゅうしゅうすぺくとる]absorption spectrum

どの波長の光がどのくらい吸収されたかを表したもの。植物では,おもに青紫色光(430~460nm)と赤色光(670~700nm)が吸収されている。

[きゅうみん]dormancy

芽や種子などが,完成後ある期間,成長や活動を停止すること。休眠すると,ある決まった条件を満たさなければ,発芽は起こらない。

[きょうしんか]coevolution

異なるの生物が互いに影響し合いながら適応して進化していくこと。

[きょうせい]symbiosis

異種の生物がいっしょに生活し,両方または片方が利益を受ける状態。両方のが利益を受ける場合を相利共生,片方だけが利益を受ける場合を片利共生という。

[きょうそう]competition

食物や生息場所などの資源を奪い合うために,同種の個体間や異なる種の個体群間で起こる相互作用。

[きょうそうてきそがい]competitive inhibition

酵素反応が,基質と類似した構造をもつ阻害物質によって阻害されること。阻害物質は基質と競合して酵素の活性部位と結合するため,酵素と基質が反応する速度が小さくなる。なお,基質の濃度が高くなるほど,阻害作用は小さくなる。

[きょくしょせいたいせんしょくほう]local(ized) vital staining

を生体に無害な色素で染め分け,胚の各部が将来どのような原基(器官のもとになる細胞の集まり)を形成するかを調べる方法。フォークトが技術的に完成させ,原基分布図(予定運命図)の作成に用いた。

[きょくそう]climax

遷移によって到達する,それ以上大きな変化が見られなくなった植生の状態。極相に達した森林を極相林という。

[きんせんい]muscle fiber

筋組織を構成する細胞。筋細胞ともいう。細胞質には収縮性の繊維(筋原繊維)がある。

[きんそしき]muscular tissue

筋繊維(筋細胞)が集まってできる組織。運動に関わる。横紋筋(骨格筋など)と平滑筋(内臓筋)に分けられる。

[きんぼうすい]muscle spindle

骨格筋に平行して存在し,筋肉がどれくらい引っ張られているかを受容する受容器。腱紡錘とともに,運動や姿勢の保持に重要な役割を果たす。また,このような内部からの刺激を受けとる受容器を自己受容器という。