生物用語解説

「ち」ではじまる用語

[ちっそこてい]nitrogen fixation

空気中の窒素からアンモニウムイオンをつくる働き。窒素固定を行う生物には,非共生生活をするアゾトバクター(好気性細菌),共生生活をする根粒菌,非共生・共生生活のいずれも行うネンジュモ(シアノバクテリアの一種)などがある。

[ちっそどうか]nitrogen assimilation

生物が,外界から窒素化合物をとりこみ,タンパク質などの有機窒素化合物につくりかえる働き。多くの植物は空気中の窒素を直接利用できないので,根から無機窒素化合物を吸収して有機窒素化合物を合成する。

[ちゃねる]channel

チャネルタンパク質が細胞膜を貫く穴を形成し,その穴を開閉して物質を通過(拡散)させる。水や特定のイオンなどの親水性の分子を通過させるチャネルが多数知られている。

[ちゅうしんたい]centrosome

細胞分裂のときに両極に分かれて紡錘糸の起点となり,染色体の分配に関係する。また,鞭毛や繊毛の形成にも関与する。棒状の2個の中心小体(中心粒)からなり,動物と一部の藻類,シダ植物やコケ植物の精細胞などに見られる。

[ちゅうすうしんけいけい]central nervous system

動物の神経組織で,情報の統合などが行われる部分。脊椎動物では,脊髄をさす。末梢神経系の対語。

[ちゅうせいしょくぶつ]day-neutral plant

日長に関係なく花芽が形成される植物。四季咲きの植物に多い。

[ちゅうのう]mid(-)brain

脊椎動物のの一部。眼球運動,瞳孔調節,姿勢保持などの中枢。

[ちゅうはいよう]mesoderm

三胚葉性の動物の発生時に生じる3つの胚葉のうち,外胚葉内胚葉の中間に位置するもの。将来,骨格や筋肉,血液などになる。ほかに,外胚葉,内胚葉がある。

[ちゅうりつせつ]neutral theory

進化におけるDNAの塩基配列やタンパク質アミノ酸配列の変化のほとんどは,生存に有利でも不利でもない突然変異が,遺伝的浮動によって偶然集団内に広がったものであるとする考え。

[ちょうかく]auditory sense

音を感じる感覚。

[ちょうがゆうせい]apical dominance

頂芽(茎の先端方向に向かう芽)が成長しているときには,側芽(茎の側方に向かう芽)の成長が抑制される現象。

[ちょうじつしょくぶつ]long-day plant

暗期が一定の長さ(限界暗期)より短くなると花芽が形成される植物。春咲き,秋まき,越年の植物に多い。短日植物の対語。

[ちょうせついでんし]regulatory gene

ある遺伝子発現転写)を制御する調節タンパク質(転写調節因子)の遺伝子。調節タンパク質によって制御を受ける遺伝子を構造遺伝子という。

[ちょうたんぶんれつそしき]apical meristem

成長する軸の先端に存在し,細胞を増殖させる組織。茎では茎頂分裂組織,根では根端分裂組織という。

[ちょうやくでんどう]saltatory conduction

有髄神経繊維において,髄鞘が絶縁体となり活動電流がランビエ絞輪(髄鞘と髄鞘のすき間)からランビエ絞輪へと流れ,興奮がとびとびに伝わる現象をいう。伝導速度は大きい。

[ちらこいど]thylakoid

葉緑体の内部にある袋状の膜構造。チラコイドは袋の意味。チラコイド膜に埋めこまれている光合成色素は,光合成における光エネルギー吸収の場である。また,水の分解,ATPの合成の場でもある。葉緑体の何もないように見える部分はストロマという。

[ちりてきかくり]geographic(al) isolation

地理的,地形的な障壁によって行き来ができず,集団間の遺伝子の交流がたたれること。

[ちろきしん]thyroxine

甲状腺ホルモンの1つ。基礎代謝を促進し,酸素消費を増大させる。また,両生類では変態を促進する。