ガスボンベの色は,高圧ガス取締法にもとづく容器保安規則により,次のようにガスの種類で決められている。
虫歯は,口の中にすむ細菌が糖を分解して生成した酸により,歯が溶ける(歯の表面からカルシウムやリンを溶かし出す)ことで始まる。
しかし,歯の表面にフッ素を塗ると,歯の表面のエナメル質をつくるヒドロキシアパタイト$\mathsf{Ca(PO_4)_6(OH)_2}$がヒドロキシフルオロアパタイト$\mathsf{Ca(PO_4)_6F_\mathit{x}(OH)_{2-\mathit{x}}}$に変わり,酸に溶けにくくなる。また,フッ素は,再石灰化を促進したり,細菌による酸の生成を抑制したりする。このように,フッ素には虫歯予防の効果があるといわれている。
そこで,フッ素を配合した歯磨き粉が販売され,歯科医院では歯にフッ素を含んだゲルを塗ることがある。外国では水道水にフッ素を入れているところもある。
ここまで,フッ素と書いてきたが,実際には普通はフッ化ナトリウムというフッ化物が使われる(ただし水中ではフッ化物イオン$\mathsf{F^-}$になっている)。これはホタル石や氷晶石などから得られる。濃度によっては劇薬にも指定されているが,虫歯予防に使われるときは,濃度を調整したものが使われる。
温泉などの「硫黄の臭い」は,本当は何の臭いなのか?
硫黄の同素体をつくる実験で,温泉や火山での「硫黄の臭い」がする。しかし,できあがった同素体には臭いがない。では,「硫黄の臭い」は何の臭いなのか。
温泉や火山では,硫化水素や二酸化硫黄が放出されている。いずれも有毒な気体で,刺激臭をもつ。低い濃度でこれらの気体があるとき,感じるのが「硫黄の臭い」である。
硫黄を加熱すると,一部が酸化して二酸化硫黄が発生する。そのため,実験をしているときに「硫黄の臭い」がする。二酸化硫黄は有毒な気体なので,実験中は換気を十分に行うなどの注意が必要である。
亜硫酸水素ナトリウム$\mathsf{NaHSO_3}$と希硫酸$\mathsf{H_2SO_4}$を反応させて,二酸化硫黄$\mathsf{SO_2}$をつくるときに起こる反応を表す化学反応式は,教科書や参考書によって,次の2通りがある。
この2つの式,どちらか一方は誤りなのであろうか。実はこの2つの式の間には次のような関係がある。
$\mathsf{NaHSO_3}$と$\mathsf{H_2SO_4}$との間では,$\mathsf{H_2SO_4}$の電離の程度によって,次の2段階の反応が考えられる。
この2つを合わせたものが,
である。
$\mathsf{H_2SO_4}$の第一電離定数は極めて大きいため,①の反応は起こりやすい。一方,①’の反応は,①ほどは起こりにくい(理由は後述)。『化学図表』では,①’の反応を前提とした②ではなく,①を掲載している。 しかし,加熱して$\mathsf{SO_2}$の発生を促進するなどの条件を加えることで,①’の反応も起こるようになる。この場合は,②で表される。
水溶液中の反応であることを考慮すると,①’は以下のように書ける。
ここで,$\mathsf{Na^+}$は反応に関わらない。また,$\mathsf{H_2O\;+\;SO_2}$は,亜硫酸$\mathsf{H_2SO_3}$より生成したと考えられる。したがって,①’は次のように書きかえられる。
これは,$\mathsf{H_2SO_4}$の2段階目の電離(右向き)と$\mathsf{H_2SO_3}$の1段階目の電離(左向き)を組み合わせたものである。
$\mathsf{H_2SO_4}$の第二電離定数$1.02\times 10^{-2}$は,$\mathsf{H_2SO_3}$の第一電離定数$1.38\times 10^{-2}$と比較的近いため,加熱して$\mathsf{SO_2}$を追い出すなど$\mathsf{H_2SO_3}$を減少させるような操作をしない限り,①’の(右向きの)反応が十分に進まないうちに平衡に達してしまう。
トンネルの照明には,ナトリウムランプがよく使われる。これは,ナトリウムランプに次のような特徴があるためである。
ただし,一方でオレンジ一色の光では物体の色がわからず,見やすいとは言えない。最近では,蛍光灯やメタルハライドランプが使われるトンネルも増えてきている。
マグネシウム(Magnesium)は,炭酸塩が白色の石として18世紀にギリシャのマグネシア(Magnesia)地方で発見された。この石は,地名と白色を意味する「alba」を組み合わせて,magnesia albaと呼ばれていた。これが「マグネシウム」という名前の由来である。
一方,この地方で発見された鉄の酸化物は,magnetと呼ばれ,磁石の原料になった。
このように,マグネシウムとマグネットの間に直接の関係はないが,その名前は同じマグネシア地方に由来している。