単位を表す記号は,立体(イタリックのように傾けない書き方) で書かれる。また,原則として小文字で表し,その名称が人名に由来する場合は,例外的に最初の1文字を大文字で表す。J(ジュール)やPa(パスカル)などがこれの例である。
ところが,体積の単位リットルは人名に由来するわけではないが,大文字のLで表される。これは,小文字のlと数字の1が区別しにくいため,例外的に認められている。なお日本では,以前はイタリックで書かれたlも使われていた。
$10^{-1}\mathrm{mol/L}$の塩酸の水溶液($\mathrm{pH}=1$:酸性)を水で$10$倍に希釈すると,$\mathsf{[H^+]}=10^{-2}$($\mathrm{pH}=2$:酸性)の水溶液になる。
さらにこの$10^{-2}\mathrm{mol/L}$の塩酸の水溶液($\mathrm{pH}=2$:酸性)を水で$10$倍に希釈すると,$\mathsf{[H^+]}=10^{-3}$($\mathrm{pH}=3$:酸性)の水溶液になる。
それでは,$10^{-5}\mathrm{mol/L}$の塩酸の水溶液($\mathrm{pH}=5$:酸性)を水で$1000$倍に希釈してできる水溶液は,$\mathrm{pH}=8$の塩基性の水溶液になるのであろうか。
当然ながら,中性($\mathrm{pH}=7$)である水で希釈する以上,中性には近づくが塩基性に変わることはない。水の電離でも$\mathsf{H^+}$が生じ,その濃度は$\mathrm{pH}=7$付近では無視できなくなる。このときの$\mathrm{pH}$は,次のように求められる。
これらを合わせた$\mathsf{H^+}$の濃度$\mathsf{[H^+]}_\text{全}$は, \[ \mathsf{[H^+]}_\text{全}=\mathsf{[H^+]}_\text{塩酸}+\mathsf{[H^+]}_\text{水}=10^{-8}+x \] になる。
一方,$\mathsf{OH^-}$は,水の電離からのみ生じるため, \[ \mathsf{[OH^-]}_\text{全}=\mathsf{[OH^-]}_\text{水}=x \]
したがって,水のイオン積$\mathsf{[H^+]}_\text{全}\times \mathsf{[OH^-]}_\text{全}=10^{-14}$より, \[ (10^{-8}+x)\times x=10^{-14}\qquad x=9.5\times 10^{-8} \] よって,$\mathsf{[H^+]}_\text{全}=1.05\times 10^{-7}$
以上より,$\mathrm{pH}=\log_{10}\mathsf{[H^+]}_\text{全}=6.98$