読書案内

高校で教わりたかった化学

渡辺正・北條博彦 著 日本評論社 2008年発行

高校の化学で学習する化学結合,化学反応などが起こるしくみを,少していねいに解説する。理屈がわかると全体が見えてくる。ばらばらな知識を暗記するのではなく,理論を知り関連づければ,確かな理解になる。

分子のはたらきがわかる10話

齋藤勝裕 著 岩波書店(岩波ジュニア新書) 2008年発行

第1話までは高校化学の内容。第2話から,超分子・エネルギー・色と話題が広がる。さらに,薬などの生命活動に関わる物質,液晶や膜を構成する物質まで,さまざまな分子を紹介する。身の回りのものや身近な化学変化を,分子という視点で理解できる。

ナノカーボンの科学

篠原久典 著 講談社(ブルーバックス) 2007年発行

炭素原子がサッカーボール状に結合したフラーレン,炭素原子が結合してできたナノサイズのチューブであるカーボンナノチューブ。これらをナノカーボンという。著者と著者のまわりの研究者が,どのようにしてこれらの発見をしてきたか。興味深い図や写真も掲載されており,ナノカーボンの解説とともに,その研究の過程についても詳しい。

賢くはたらく超分子

有賀克彦 著 岩波書店(岩波科学ライブラリー) 2005年発行

分子どうしがゆるやかに結合して,ふつうにはない機能をもつ「超分子」。身近なところでも使われている。たとえば,チューブ入り練りわさびで辛み成分が保持できるのも超分子の働き。穴の開いた球のような分子に,細長いひものような分子を通したり,それらを組み合わせて,伸縮できる素材をつくり出したりする。また,洗剤のような物質からつくり出した膜や,炭素を結合させてつくり出したカーボンナノチューブに,他の分子を加えて機能をもたせたりするなど,さまざまな研究が紹介されている。

ためしてビックリ!おもしろ化学実験

守本昭彦 著 ナツメ社 2003年発行

身近な道具と材料を使ってできる化学実験集。実験はいつも思い通りになるとはかぎらない。そこに考える機会が生まれ,曖昧な理解が確かなものになっていく。教科書だけによる知識とは違って,体験を通した理解は,確かな力になっていく。また,それらをフォローするように,より詳しい情報も書かれているので,実験好き,化学好きには手放せない1冊といえる。

なぜ原子はつながるのか

竹内敬人 著 岩波書店(高校からの化学入門1) 1999年発行

原子説にいたるまでと,化学結合のしくみ,さらに超分子の紹介まで,化学結合を中心に詳しく解説する。高校化学から出発して,もう少し詳しい内容までをていねいに解説するシリーズ第1巻。原理やしくみがわかると,複雑に思えていたものの全体が見通せるようになる。理解が深まれば化学はもっとおもしろくなる。やや高度な内容が入っているが,各巻130〜150ページ程度なので,化学の本質を系統的に理解したい人には適している。

分子の形と性質

竹内敬人 著 岩波書店(高校からの化学入門2) 1999年発行

どのような構造が安定であるか,また,構造と性質の関係などを詳しく解説する。分子の構造を解析する方法の紹介もある。高校化学から出発して,もう少し詳しい内容までをていねいに解説するシリーズ第2巻。原理やしくみがわかると,複雑に思えていたものの全体が見通せるようになる。理解が深まれば化学はもっとおもしろくなる。やや高度な内容が入っているが,化学の本質を系統的に理解したい人には適している。

化学反応のしくみ

竹内敬人 著 岩波書店(高校からの化学入門3) 2000年発行

どのようなしくみで化学反応が起こるのか。理屈がわかるとさまざまな反応の理解が深まる。高校化学から出発して,もう少し詳しい内容までをていねいに解説するシリーズ第3巻。原理やしくみがわかると,複雑に思えていたものの全体が見通せるようになる。理解が深まれば化学はもっとおもしろくなる。やや高度な内容が入っているが,化学の本質を系統的に理解したい人には適している。

物質を設計する

竹内敬人 著 岩波書店(高校からの化学入門4) 2000年発行

どのようにして有益な化学物質を合成するのか。その研究の歴史を紹介しながら,化学合成のしくみを解説する。高校化学から出発して,もう少し詳しい内容までをていねいに解説するシリーズ第4巻。原理やしくみがわかると,複雑に思えていたものの全体が見通せるようになる。理解が深まれば化学はもっとおもしろくなる。やや高度な内容が入っているが,化学の本質を系統的に理解したい人には適している。

新版元素の小事典

高木仁三郎 著 岩波書店(岩波ジュニア新書) 1999年発行

原子番号1の水素から109のマイトネリウムまで,基本的に見開き2ページをさいて解説する。元素名の由来や発見のエピソードから,化学的性質や身近な活用例とさまざまな話題がある。どこから読んでもよいつくりなので,興味ある元素から読んでみるのもよい。原子番号順になっているが,元素名で五十音順にした目次もある。また,コラムも充実していて,化学的な知識の補足などができる。

カーボンナノチューブの挑戦

飯島澄男 著 岩波書店(岩波科学ライブラリー) 1999年発行

人間がつくった最も小さなチューブ,それがカーボンナノチューブ。炭素原子がサッカーボール状に結合してできるフラーレンが注目される中,同じものを追うのではなく,違うものをめざしていた著者は,この微小なチューブを発見した。発見者自らがわかりやすく解説する。どころどころに掲載されている図解や写真が,ナノレベルの構造を見える形に表現しており,興味をかき立てる。

だれが原子をみたか

江沢洋 著 岩波書店 1976年発行

原子は見ることができない。その原子の存在をどのようにして証明するのか。ものが小さな粒子でできているという考え方は何千年も前からあった。しかし,その小さな粒子=原子が実在するかどうかという論争に決着がついたのは,20世紀に入ってからであった。さまざまな実験と考え方を紹介しながら,だれが原子の実在を証明したといえるのかを読者に考えさせる。

化学の基本7法則

竹内敬人 著 岩波書店(岩波ジュニア新書) 1998年発行

質量保存の法則,ボイル・シャルルの法則,ドルトンの原子説,アボガドロの分子説,ファラデーの法則,アレニウスの電離説,元素の周期律という7つの法則について,発見の歴史とその意味を解説する。何世紀もの時間をへて築き上げてきた過程を大切にしながら,これらの法則の理解を深めていく。また,コラムによって,歴史的背景やもう一歩詳しいが補われている。

水とはなにか

上平恒 著 講談社(ブルーバックス) 1977年発行

水は例外的な性質をもつが,最も身近な水という物質の性質を詳しく知ることは大切である。また,それらを見ていくことで,化学の基本的な概念も整理できる。水溶液の性質や,界面における水の性質など,知っていると高校化学の理解にも有効である。水と生物との関係も重要である興味深い。

元素111の新知識

桜井弘 著 講談社(ブルーバックス) 1997年発行

この本が出版されたころに確認されている111の元素それぞれについて,データから名の由来,発見の歴史や利用例など,さまざまな情報がまとまっている。科学史的な内容にとどまらず,科学的な理解にも配慮したつくりになっている。また,生命との関わりを重視している点も本書の特徴である。20数か所あるコラムも興味深い。どこからでも読めるつくりなので,興味をもった元素から読むとよい。また,元素について調べる事典としても使える。

ロウソクの科学

ファラデー 著 角川書店(角川文庫) 1962年発行

この本の内容は,1861年にロンドンの王立研究所でファラデーが行った講演の記録からできている。たった1本のロウソクから,いろいろな科学現象を見いだし,それらを解説していく。古典的内容でありながら,いまなお通用する科学の入門書。

空気の発見

三宅泰雄 著 角川書店(角川文庫) 1962年発行

最も身近な気体である空気についての疑問に対して,わかりやすくこたえていきながら,それがわかるまでの歴史も紹介していく。発見の過程を学ぶことは,科学的な見方や考え方を学ぶことにつながる。