愛知の文学

和歌文学三河地区地図

唐衣きつつなれにしつましあれば
はるばるきぬる旅をしぞ思ふ
在原業平
(古今和歌集 巻9 410)

しはつ山うちいでて見ればかさゆひの
島漕ぎかくる棚無し小舟
読み人しらず
(古今和歌集 巻20 1073)

潮さゐに伊良虞の島辺漕ぐ舟に
妹乗るらむか荒き島廻を
柿本人麻呂
(万葉集 巻1 42)

玉藻刈る伊良胡が崎の岩根松
いくよまでにか年のへぬらむ
藤原顕季
(千載和歌集 巻16 1044)

うつせみの命を惜しみ波に濡れ
伊良虞の島の玉藻刈り食む
作者未詳
(万葉集 巻1 24)

君があたり雲井に見つつ宮路山
うち越えゆかん道も知らなく
読み人しらず
(後撰和歌集 巻13 918)

引馬野ににほふ榛原入り乱れ
衣にほはせ旅のしるしに
長忌寸奥麻呂
(万葉集 巻1 57)

いづくにか舟泊てすらむ安礼の崎
漕ぎたみ行きし棚なし小舟
高市連黒人
(万葉集 巻1 58)

春霞立ちかくせども姫小松
ひくまの野べに我は来にけり
大江匡房
(金葉和歌集 巻10 666)

惜しむともなき物ゆゑにしかすがの
渡と聞けばただならぬかな
赤染衛門
(拾遺和歌集 巻6 316)

思ふ人ありとなけれどふるさとは
しかすがにこそ恋しかりけれ
能因
(後拾遺和歌集 巻9 517)