愛知の文学
歎老の辞
作品 | 書名 | 時代 | 地域 |
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歎老(たんろう)の辞 |
鶉衣(うずらごろも) | 江戸時代 | 名古屋市中区 海部郡 |
『鶉衣』は天明7(1787)年〜文政6(1823)年に刊行された俳文集。継ぎはぎをした衣類のことを「鶉衣」といったことから,まことにお粗末な短い文章の書き集めという,いたって謙遜(けんそん)した書名をつけている。この「歎老の辞」は,老境に入った筆者の心境を,淡々としたユーモアを交えて読む者に語りかけている。
作者横井也有(やゆう)は,1702年に尾張藩に生まれた千石取りの武士で,徳川宗春(むねはる)にかわいがられたと思われる。49歳の時に役職を退き隠棲(いんせい)をした。美濃(みの)派を開いた各務支考(かがみしこう,蕉門十哲の一人)の影響を受け,また詩歌・書画・謡曲・狂歌など多芸多能な教養人である也有は,俳諧そのものではなく,軽妙洒脱(しゃだつ)な俳文によってよく知られている。也有の俳文は,平易な言葉を用いながら和漢の詩歌・故事を随所におり込み,縁語・掛詞・対句・省略などの俳文としての特色をよく備えている。
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也有の墓
(愛西市,西音寺) -
也有の住居であった知雨亭跡
(名古屋市中区下前津)