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高利貸しはどちらの人なの?

質問

鎌倉時代の終わりころのページに出ている「高利貸し」の絵について,別の本には,「女性が高利貸しであって,男が借りている」と書いてありました。どちらが正しいのでしょうか?

解答

この絵は「山王霊験記(さんのうれいげんき)」(蓮華寺本)という絵巻物にある1場面です。この絵巻物には,詞書(ことばがき)という説明文があり,次のように書かれています。

「(訴訟[そしょう]のために京都から鎌倉にくだった女房は)慣れない旅住まいに,頼みとする者もなく,朝夕の食事にも困るありさまでした。借金をしたところ,最初20貫だった借金が,やがて80貫にもなり,どうしようもなくなって使用人10人ばかりにひまをとらせました。」このあと,鎌倉の山王神社に救われる場面が続きます。

このような内容ですので,縁側(えんがわ)の下にいる男が高利貸し(借上=かしあげ)で,上にいる女性が借金をした女房ということになりますね。

この絵巻物を所蔵している和泉市久保惣(くぼそう)美術館も,このような理解で説明しているよ。