歴史のQ&A

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なぜ「源氏」は「げんじ」で「平氏」は「へいし」なの?

質問

藤原氏は「ふじわらし」といいますが,平氏は「たいらし」といわずに「へいし」といい,源氏も「みなもとし」とはいわずに「げんじ」というのはどうしてでしょうか?

解答

1240年ころに成立したといわれる「平家物語」には,「ヘイジ」「ゲンジ」とカタカナで読み仮名がついています(新日本古典文学大系「平家物語」)。

「この一門にあらざらむ人は,皆人非人なるべし」といったことで有名な平時忠の読み方は「ヘイ トキタダ」という読み仮名がついています。人物の名前も「ヘイ」と発音することがあったようです。

藤原氏については,「平家物語」では「トウ」と「フジワラノ」の両方が出てきます。 「宇津保物語」では「トウジ」と読んでいます。

つまり,「トウジ」「ヘイジ」「ゲンジ」という,音読みが多かったということです。ではいつごろから「ヘイジ」が「ヘイシ」に変わったかということです。

1603年にできた「日葡辞書(にっぽじしょ)」には,「Feiji.ヘイジ(平氏) Taira vgi.タイラウジ・平氏 すなわち,Feiqeno ichimonn.(平家の一門) 日本における昔のある高貴な一族」「Guenji.ゲンジ(ゲンジ) Minamoto vgi.ミナモトウジ・源氏 日本の有名な,そして古い1つの家系」とあります。

江戸時代の初めまでは「ヘイジ」「ゲンジ」と読んでいたようです。訓読みも「フジワラウジ」「タイラウジ」というように読んでいたのでしょう。両方ありましたが,やはり音読みが一般的だったようです。「フジワラシ」という読み方は,もっと時代がくだったころからの,新しい読み方のようです。

読み方にも歴史があるね。