歴史のQ&A

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なぜ同じ古墳でも名前が何種類もあるの?

質問

大仙古墳・大仙陵古墳・大山古墳・仁徳天皇陵古墳・伝仁徳陵古墳というように,同じ1つの古墳なのに,いろいろな名前がついています。
どうしてこのように,いろいろな名前があるのでしょうか?

解答

「陵」は「りょう」のほかに,「みささぎ」という読み方もあります。天皇の墓のことで,普通の人の墓とは区別した,敬意のある表現です。数十年前までは,「仁徳天皇の陵」ということで,仁徳天皇陵とか仁徳天皇陵古墳としていました。

しかし,この古墳が仁徳天皇の陵である証拠はありません。明治時代に,決定的な証拠がないまま,この古墳を仁徳天皇の陵と決めただけなのです。

さらに戦前は,天皇の存在や陵を疑うこと,批判的にあつかうことは許されない時代でしたので,研究も遅れていました。

戦後の考古学や歴史の研究で,天皇の陵とされていた古墳のいくつかが,正しくないと考えられるようになってきました。

そこで,研究が進むまでは,古墳の名前は,不明なものは不明とわかるような表記をしたり,現地の地名で表すようにしようということになってきたのです。「伝仁徳」という表現は,「この古墳は仁徳天皇の陵とは証明されていないが,古くからそのように伝えられてきたもの」という意味がふくめられています。

また,地名で表すと,この古墳は大仙町にあるので,大仙古墳となります。江戸時代の地図には,大山とあります。どちらの字を尊重して表現するかは,学者によって異なります。

現在では,現地名尊重主義が主流になっていますので,大仙古墳が多くなっていますよ。