歴史のQ&A

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貨幣や小判のサイズは一定ではないの?

質問

和同開珎や鎌倉・室町時代の貨幣や小判や江戸時代の貨幣のサイズをみると,本によっていろいろあります。間違いではないでしょうか?

解答

たしかに,いろいろなサイズの表示がありますね。この質問の答えは,「違っていていいのです。」というものです。

どうしてかの説明をします。現在通用している五百円硬貨にしても一円硬貨にしても何グラム・直径何ミリ・厚さ何ミリとまったく一緒です。100分の1違うかどうかで,見分けは着きません。これは高精度の鋳造・工作機械が作り出しているからです。さらに,できたものを,人間がチェックして変造のものをはねているので,まず間違いありません。

このような製造精度はほかの機械や製品にも実現されていますので,どれをとっても同じだという常識が成り立っています。違っていると変だという気がしてくるようになっています。

でも,よく考えてみると,みんな全く同じということのほうが変だということもいえませんか?

むかしは,もっとおおらかな社会でした。また鋳型のような型が一つ作られて,それから別の鋳型が作られて,さらに別の鋳型が作られて,それらの鋳型から何度も鋳造されるわけですので,一つの定まったサイズにそろえることはむずかしいことでした。また,偽物を作る人もいました。宋や明から輸入する銅銭は,日本の各地で偽造されて増やされていました。この偽造のへたな銅銭を「びた銭」といっていました。

小判も金の混ぜる量はその時で決まりましたが,重さはほぼそろっても,大きさはまちまちでした。本物と証明する刻印というものが重要なものになりましたが,サイズや形については一定しませんでした。

貨幣資料館などに訪ねて,小判などを見てみると,そこにある小判と本に載っているものとサイズや形が違って見えることでしょう。