歴史のQ&A
第一次世界大戦中のイタリアはどのような動きをしていたの?
質問
第一次世界大戦は,三国同盟と三国協商の対立が軸になっておきた戦争だと思っていましたが,イタリアが出てこないのは,どうしてでしょうか?
解答
まず第一次世界大戦の経過を年表で確認しましょう。
大隈首相 | 1914年 | 6月 | サラエボでオーストリア皇太子が暗殺される |
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7月 | 第一次世界大戦が始まる | ||
8月 | 日本がドイツに宣戦布告する | ||
10月 | 日本がドイツ領南洋諸島を占領する | ||
11月 | 日本が山東省青島(チンタオ)を占領する | ||
1915年 | 1月 | 日本が中国に二十一か条の要求を提出する | |
4月 | ドイツが毒ガスを使い始める | ||
5月 | イタリアが三国同盟を破棄(はき)してオーストリアに宣戦布告する | ||
中国が二十一か条の大半を受諾する | |||
1916年 | 7月 | 日露協商を結ぶ | |
8月 | イタリアがドイツに宣戦布告する | ||
9月 | イギリスが戦車を使い始める | ||
寺内首相 | 1917年 | 2月 | ドイツが無制限潜水艦作戦を宣言する |
3月 | ロシアに3月革命がおこり,皇帝がたおされ,帝政が終わる | ||
4月 | アメリカがドイツに宣戦布告する | ||
8月 | 中国が,ドイツ・オーストリアに宣戦布告する | ||
11月 | ロシアに11月革命がおこり,ソビエト政権を樹立する | ||
1918年 | 1月 | ウィルソン米大統領が14か条の平和原則を発表する | |
3月 | ソ連がドイツと単独講和を結ぶ | ||
8月 | 日本軍などがシベリア出兵を始める | ||
原首相 | 11月 | ドイツ革命でドイツが降伏する | |
第一次世界大戦が終わる |
次に,イタリアの立場を整理しよう。
イタリアは,オーストリアとの間に1871年以来の「未回収のイタリア」という領土問題をかかえていたので,三国同盟とはいっても,オーストリアとは,うまくいっていませんでした。
ドイツはオーストリアと1879年の同盟以来,友好関係にあり,バルカン問題でもオーストリアを全面的に支援していました。イタリアはこのことも不満に思っていました。
第一次世界大戦が始まると,イタリアは,イギリス・フランス・ロシアと「ロンドン秘密条約」を結びました。やがて三国同盟の廃棄を宣言し,オーストリアとドイツに宣戦布告しました。
イタリアは,大戦の始まりから同盟の破棄までは,どの国にも宣戦布告していないのです。まるでオーストリアをたたく機会を待ったかのように…。
つまり,第一次世界大戦は,三国同盟と三国協商の対立を軸にして始まったといいますが,実際は,ドイツ・オーストリアの2国と,ほかのドイツ包囲網の国々との戦いだったよ。