歴史のQ&A

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文明開化で,「ぶた」に勝つ「うさぎ」とは?

質問

明治の初めの風俗を知る資料として「開化因循興廃鏡」という錦絵があります。ここで,「うさぎ」が「ぶた」に負けるようにえがかれているのは,どのような意味なのでしょうか?

解答

まず絵のタイトルから説明しましょう。「開化」とは,文明開化というように,急激な西洋化という意味です。当時の流行語でした。

「因循(いんじゅん)」とは,古いならわしに従っていて,改めようとしないことをいいます。「興廃(こうはい)」とは,おこりすたれることです。「鏡」とは,ようすを映し出すことです。

つまり,急激に変わろうとしている世の中を風刺するという意味なのです。この絵がえがかれたのは,1873(明治6)年ですから,まさに文明開化の時代で,人々の生活や文化も急激に変化したときといえます。

さて,本題の「うさぎ」に入りましょう。「近代日本総合年表」に,1872(明治5)年に東京でうさぎの飼育が大流行したという記事があります。確かな理由はわかりませんが,1つは,ペットとして飼うことが大流行したということ。もう1つは,うさぎがよく売れるということで士族の中に,うさぎの商売に手を出した人がために,流行したようです。管理がずさんなため,たくさんのうさぎを死なせてしまったという話も残っています。

この話は,なだいなだという人が書いた「TN君の伝記」に,少しふれられています。

そして「ぶた」は,「うさぎ」の仮の相手だったようです。ほかの錦絵にも「うさぎ」はよく登場していますが,相手は「ぶた」だったり「ねずみ」だったりします。