探究「死刑制度は必要か?」

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また,「自己評価シート」を使うことで,どのような力が身に付いたのか,確認することができます。ぜひ使ってみましょう。

探究ページの最後にある「Think」について,他の人の意見も見てみましょう。
また,あなたの意見と同じ点や異なる点,共感できる部分やできない部分などについても,考えてみましょう。

Q. 死刑制度についてどのように考えるか?

  • Aさん
    Aさん

    死刑制度は廃止すべきです。
    憲法では,公務員による残虐な刑罰が禁じられており,死刑はそれにあたると思います。憲法は,国家権力を制限して人権を守るために作られています。国家が,刑罰とは言え人を殺すことは許されません。憲法13条が示すように,どんな人にも生きる価値があって,国がそれを奪ってはならないと思います。
    また,死刑には犯罪抑止効果があるという意見もありますが,科学的に立証されていませんし,死刑になりたくて犯罪を起こす人もいます。
    犯罪に対する相応の報いは必要ですが,罪の重さを認識させ,更生の道を探ることが社会正義であり,刑罰の役割だと思います。

  • Bさん
    Bさん

    死刑の代わりとなる刑罰を創設し,将来的に死刑を廃止すべきだと考えます。
    裁判は,誤りがないようなしくみが設けられており,明らかに誤判の可能性のない死刑確定者もいるかもしれませんが,人が裁く以上,間違いは起こる可能性があります。その場合,命を奪う刑罰は取り返しがつきません。
    また,現状では死刑を執行するまでに時間がかかりすぎて,その間,死刑確定者の生活のために国費が使われていることも問題です。国費は,死刑確定者ではなく,本当に困っている人々に社会保障として使うべきです。
    そこで,例えば死刑の代わりに,釈放を許さず生涯をもって特定の施設で働かせ,彼らが働いて得た収益を国費にあてる刑罰を創設して,一生をかけて償いをさせるべきだと考えます。

  • Cさん
    Cさん

    死刑制度は存続すべきです。
    人の命を奪った人の人権が守られるなら,命を奪われた人の人権はどうなるのでしょうか。
    罪を犯した人に相応の刑罰を科して,利害・不平等を是正するのが正義だと思います。
    命に対しては命であがなうことが,社会の安定につながると思います。

  • Dさんさん
    Dさんさん

    家族・友人など親しい人が,もし命を奪われたとしたら,冷静に死刑廃止とは言えないと思います。ですが,法という社会のルールを感情だけで決めてはならないとも思います。
    死刑には遺族感情を癒す役割があるという意見があり,気持ちは理解できます。ですが,たとえ犯人が死刑になっても,遺族の悲しみが癒えることはないと思います。また,法律で死刑となる犯罪が定められ,死刑となる基準も示されている中で,仮に犯人に死刑判決が下されない場合はどうなるのでしょうか。遺族の方たちの精神的な救済は,刑罰とは別に考えるべきと考えます。
    罪に対する相応の刑罰として死刑がふさわしいのかどうか,代わりとなる刑罰で目的を達成できないか,しっかりと考えるべきだと思います。

  • Eさん
    Eさん

    死刑は廃止すべきだと考えます。
    普通,進んで人の命を奪いたいと思う人はいません。ですが,死刑の場合,執行命令書にサインする法務大臣,死刑を執行する刑務官は,命を奪うことにかかわっています。刑罰であり,法の手続きに則っているとはいえ,自分の信条に反して行っているかもしれません。
    その人たちのように職務として行うのではなく,私たちもいつか裁判員に選ばれ,死刑かどうかを判断するような重大犯罪にかかわるかもしれません。その時に,死刑という判断を下すことには相当の覚悟・信念・確信が求められ,私はその重責を担うことは難しいと感じます。
    刑罰を決め,行う人の立場からも,死刑は人権侵害だと考えます。