探究「男女平等な働き方について考える」

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探究ページのテーマについて,「ワークシート」を活用して考えてみましょう。
また,「自己評価シート」を使うことで,どのような力が身に付いたのか,確認することができます。ぜひ使ってみましょう。

探究ページの最後にある「Think」について,他の人の意見も見てみましょう。
また,あなたの意見と同じ点や異なる点,共感できる部分やできない部分などについても,考えてみましょう。

Q. 男女ともに活躍できる社会にするには,どのような対策が必要か。

  • Aさん
    Aさん

    私が改善したいことは,男性の育児休業取得率の改善です。
    男性の取得率は上昇しているとはいえまだ低く,育児は女性がするもの,主体は女性という意識が残っています。そうした意識の一方で,女性に社会での活躍を求めています。現在の制度は,男女がともに活躍する社会といいながら,女性に「仕事でも家庭でも」活躍することを求める制度で,女性の負担が多く不公平だと感じます。この考え方を社会全体で改める必要があります。
    対策として,男性の育児休業取得の義務化・もしくは数値目標を女性と同レベルに引き上げることを提案します。現在の数値目標は2025年度までに30%ですが,男性も育児休業を取って当たり前という意識を育てるためにも,高い目標を定めるべきです。
    具体的には,達成企業には補助金や税制優遇などの措置をとること,さらに達成企業や,達成率が一定以下の企業名を公表するなどの措置が考えられます。これから社会に出ていく若い世代は,企業に「働きやすさ」を求めるため,「働きやすい」企業には優秀な人材が集まり,企業側にもメリットがあると考えます。

  • Bさん
    Bさん

    改善したいことは,長時間労働の解消です。
    日本の戦後の労働環境は,男性が長時間労働をいとわず,いつでも,どこでも会社のために働き,女性がそれをサポートするという家庭・労働の役割分担の上に成り立ってきました。そして高度経済成長を実現しました。私たちの上の世代の人の,そうした努力は尊敬していますが,その後の時代・社会の変化に働き方が対応できていないと考えます。フルタイムで働けない人は,仕事での活躍の場が限られ,その後も戻ることが困難です。フルタイム(長時間労働)を前提とした働き方のひずみが,主に女性の働き方に影響を与え,格差につながっていると考えます。
    具体的には,ICTの導入による業務の効率化が考えられます。現在過剰になっている業務の削減・分担の見直しを進めます。
    同時に,全社員を対象とした時短勤務やフレックスタイム制,テレワークを適宜利用できる制度の導入も必要だと考えます。利用できる対象を限った「特別」な制度ではなく,誰でも使える制度にすることで,制度を利用できる人・できない人の格差や不公平感がなくなり,誰もが働きやすい環境となります。
    どんな人も,常に労働・会社中心でいるわけにはいきません。その時その時の環境,例えば育児や介護,自分の健康状態などに応じて働き方を柔軟に選択できるべきです。
    ワーク・ライフ・バランスを社会全体で実現できれば,仕事か家庭かという選択肢そのものがなくなって少子化問題の改善にもつながり,一石二鳥だと考えます。

  • Cさん
    Cさん

    私が改善したいことは,教育環境です。
    男女の性別役割分担意識が,労働環境に影響を及ぼし,男女の格差につながっています。もちろん,働く上での諸制度を見直すことは必要ですが,その根底に各人の意識の問題があるならば,まずはそこを見直していくことが必要です。そして,この意識は幼いころからの身近な場面での経験や,社会の雰囲気の中で身についていくので,就学前からの教育の中で,能力や適性,考え方,言動などと性別を切り離していくことが必要です。
    例えば,幼いころであればおもちゃや服装などを「男の子(女の子)だからこれ」というように周囲が決めないこと,学校ではアンコンシャス・バイアスについて理解を深める授業などを取り入れること,大学の理系学部に女子生徒枠を設けることなどです。
    また,こうした教育環境を整えるには,大人の側の意識改革も必要です。大人はすでに意識が形成されているので,ある程度の強制力が必要です。自分のアンコンシャス・バイアスを理解するような講習,アファーマティブ・アクションの積極的な導入,男性の育児休業取得率の引き上げなどによって,実績をつくり,そこから意識を変えていくことが考えられます。

  • Dさん
    Dさん

    女性の非正規雇用の割合の高さと,それに伴う所得の男女格差を改善すべきだと考えます。
    女性の年齢別労働力率は,正規雇用の割合は20歳代前半をピークに下がっていますが,全体としては70~80%です。これは,結婚や出産を機に正規雇用から非正規雇用に労働形態を変えていることが原因だと考えられます。非正規の働き方は不安定で,経済状況によって雇止めが起こる可能性もあります。非正規の人すべてに配偶者がいて,ある程度生活が保障されている人ばかりではありません。こうした形態で働く人に,圧倒的に女性が多いという不公平は解消されるべきです。
    もちろん性別役割分担の改善や,正規雇用のまま働き続けられるようなワーク・ライフ・バランスを実現する改革も必要ですが,すぐに実現するのは困難です。また,現在非正規で働く人が,希望してすぐに正規になることも現実的ではありません。
    まずは,非正規を選んだとしても,働き方が評価されてステップアップでき,希望すれば正規雇用になれる仕組みや,同一労働同一賃金で働きに応じた対価が得られる仕組みを作ることが必要だと考えます。

  • Eさん
    Eさん

    国会議員に占める女性の割合の低さの改善が必要です。
    日本のジェンダーギャップ指数は特に政治分野で低く,最低レベルです。社会を変えるには,政治の力は重要です。ですが,今の国会議員は男性が多く,若い世代も少ないです。女性の視点,ジェンダーに対する意識がある若い政治家が増えれば,政策にも影響が生じ,男性中心の社会のあり方が変わると思います。
    女性が少ないのは,政治家の中に女性を低くみる人も多いなかで,女性が立候補しづらい現状もあるのではないでしょうか。性別にかかわらず有能な人が議員になるべきですが,政治の世界の意識改革のために,立候補者や国会議員の一定割合を女性にするような,アファーマティブ・アクションが必要だと考えます。ただ,議員は国民が選挙で選ぶため,立候補者に女性を増やしても当選するかは分かりません。例えば各政党の比例代表の名簿の上位に女性を一定割合入れることを義務付けるのはどうでしょうか?また,国務大臣は過半数は国会議員ですが,それ以外からでも選べます。議員以外も含め,閣僚の一定割合を女性にすることも有効だと考えます。
    同時に,有権者も誰を議員に選ぶのか,しっかりと考え,投票に行くことが求められます。

  • Fさん
    Fさん

    女性の労働時間調整を招く税・社会保障制度の見直しが必要です。
    女性の力を発揮・女性の活躍推進とうたいながら,一方で高度成長期に多かった世帯モデルでの制度が残ったままで,働く意欲があっても,それを妨げてしまう原因になっているからです。
    この問題に対して,所得の制限を引き上げる/引き下げる/制度をなくす,などさまざまな手段が考えられますが,それぞれに対してメリット・デメリットが生じます。それぞれのメリット・デメリットを十分検証し,公平公正な社会保険制度を考えることが必要だと思います。