探究「日本の貿易政策を今後どうすべきか?」

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また,あなたの意見と同じ点や異なる点,共感できる部分やできない部分などについても,考えてみましょう。

Q. 日本の貿易政策は,どのように進めればよいか?

  • Aさん
    Aさん

    すでに世界でFTA・EPAの動きが広がっているので,貿易立国である日本が不利益を被らないよう,自由化を進める貿易政策をとるべきです。

    例えば,日本の輸出品の上位を占める機械類や自動車などの関税撤廃を貿易相手国に働きかければ,輸出拡大につながります。ただし,発展途上国からの輸入が多い農産品の関税を中心に引き下げる一方で,日本が輸出を強化したい農産品の関税引き下げを相手国に働きかけるといったように,日本の国益とともに,貿易相手国の事情にも考慮してFTA・EPAの内容を決めるとよいと思います。

  • Bさん
    Bさん

    確かに,貿易の自由化の動きは日本だけでとめられるものではありません。しかし,自由化が進めば,国内への輸入品が増え,競争が激しくなります。

    日本の小規模零細農家だけでなく,世界的に見ても,発展途上国など,弱い立場にある生産者が激しい価格競争にさらされることになります。コストや品質に見合う,公正な価格で取り引きすることで,生産者を守るといったフェアトレードの視点も重要ではないでしょうか。そのためには,品質の良さを維持したりアピールするといった生産者側の努力も必要ですが,企業が生産者と連携して事業展開したり,消費者が理解を深めるなど,社会の変化も必要です。日本が率先してそのような動きを広めていくことで,貿易の自由化で弱い立場にある人々が被る不利益を少しでも減らすことができると思います。

  • Cさん
    Cさん

    貿易の自由化を進めるFTA・EPAといっても,内容次第で自由化のスピードを調節できると思います。

    例えば,知的財産権の侵害を防ぐために,海賊版や模造品の取り締まりルールを厳しくしたり,産業の空洞化を防ぐために原産地規則を厳格にするといったように,国内産業を守るための工夫が必要だと思います。すべてを自由にするのではなく,自由化による悪影響を事前に検討して,そうした悪影響をできるだけ防ぐためのルールをFTA・EPAの内容に取り込んでおく必要があります。

  • Dさん
    Dさん

    BさんやCさんの考えに賛成です。

    自由化は世界の流れですし,競争によってよりよいものが生まれると思うので,基本は自由化すべきだと思いますが,それでは弱い立場にある人を切り捨てることになります。弱い産業を保護することも必要ですし,競争力が高まるように支援していくことも必要だと思います。産業を育てるには時間が必要なので,長期的な目標を立て,数年ごとに交渉の見直しを行い,段階的に自由化に向かうようにすべきだと思います。