高校生のための国語のおすすめ30冊

暇と退屈の倫理学

暇と退屈の倫理学

評論 私のおすすめ30冊 哲学の入門書にオススメ 読む暇くらいあるでしょ

新潮文庫(新潮社)                     

國分功一郎

君が君の人生をちゃんと楽しむためのヒント

「あなたの将来の夢は何ですか?」――ずいぶんと聞き飽きたフレーズだろうけれど、きっと君は「宇宙飛行士になりたいです」とか、「公務員になりたいです」といった具合に、答えてきたんじゃないかな? もちろん、「資本主義」と呼ばれる社会を生きる私たちは働いてお金を稼がなくちゃならない。だから、どうやってお金を稼ぎたいのかを夢として語ることはとっても大切なことだ。でも、考えてみて欲しい。もし君がその夢の仕事に就くことができたとして、その仕事がお休みの日をどうやって過ごそうと考えているの? えっ、「何にも考えていないけど、とりあえずスマホいじったりテレビ観たりして休めたらいい」って?! そんな君のもとへいつの日か(もしかしたら、明日にでも?)やって来るかもしれない「暇で退屈な日曜日」のために、おせっかいながらこの本を紹介しておくよ。

タイトルにある「倫理学」なんていう言葉。めちゃくちゃ難しそう。けれど結局は、「よりよく生きることについて考えてみた」くらいの意味だ。だから、筆者はこう問いかける。「暇のなかでいかに生きるべきか、退屈とどう向き合うべきか」。そして、その答えを求めてたくさんの先人たちの言葉を手がかりに考えていく。そのスタイル(文体)は、まるで謎解き小説みたいに君を思考の渦に巻き込んでいくはずだ。ただし先に言っておくと、筆者は「君はこうやって生きろ!」なんてはっきりとしたお説教はしてくれない。けれど、筆者と共にじっくりと考えていこう。そのうちに君は君の人生をちゃんと楽しむためのヒントを見つけ出してしまう――そんな風に思うんだ。

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