高校生のための国語のおすすめ30冊

ノルウェイの森

ノルウェイの森

小説 私のおすすめ30冊 世界のMURAKAMI 村上春樹デビューに 時代も場所も超えて読まれる名作

講談社文庫(講談社)

村上春樹

不完全な社会で不完全な人たちが失い傷つき、生きていく

村上春樹と同じ時代を生き、彼の小説をこの時代に原文のまま読むことができるのは、今を生きる我々の特権だ。小難しそうで手に取りづらいかもしれないけれど、文章は軽快でユーモアもあり、とても読みやすい。そんな村上春樹入門におすすめしたいのが、「ノルウェイの森」。

不完全な人たちが、不完全な社会の中で、失い傷つきながら生きていく物語。それはつまり、私たちの物語。だからこそ、時代も場所も性別も年齢も超えて、多くの人がこの物語を自分のものとして読んだ。読み終えた後で、明るい気持ちになることも、勇気をもらえることもない。ただ、読む前と読んだ後では確かにあなたは変わっている。具体的には言えない何かが少し変わっている。それは、不完全なあなたを完全なものに近づけるようなものではない。それは、不完全なあなたが、不完全なこの世の中で、失い、傷つきながら、それでも強く生きていくことを少しだけ助けてくれる。

難しそうに書いてしまったけれど、発売当時の著者本人によるキャッチコピーは「100%の恋愛小説」。村上春樹入門にぜひ。

次に読みたい本

1Q84

  • 1Q84

小説

新潮文庫(新潮社)

村上春樹

ノルウェイの森以上の愛の物語。「喪失」が村上春樹の小説の一つのテーマになるが、1Q84はそれを超えていく。村上ファンは良い意味(多分)で裏切られました。

ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

  • ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

エッセイ

文藝春秋

村上春樹

ラオスだけでなく、様々な場所を訪れた著者による紀行文。著者の観察と考察がリラックスした文体で語られ、小説以上に気楽に読むことができる。村上春樹はとにかくエッセーが面白い。