高校生のための国語のおすすめ30冊
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海の見える理髪店
集英社文庫(集英社)
誰にだって何にだってそれなりの理由や過程がある。
誰の目から見ているのか、誰がそれを語るのか。同じ現象であっても、見る人によって捉え方は様々なはずだ。それがたとえ法律に触れるような悪行であっても。「誰から見ても絶対悪」なんてそうそう無い。なにも悪を容認したいのではない。「盗人にも三分の理」なんてことわざもある。誰にだって何にだってそれなりの理由や過程がある。そう言いたいだけだ。その人なりの理由や過程を受け止める寛容・愛情・余裕の大切さを伝えたいだけだ。
本書の表題作は、二人の男性の視点から、それぞれの人生と、いま二人の間で起きていることについて語られる。一つのことが二人の目で見られ語られる。見え方が異なること、相手には分からないこと、伝えきれないことがある。そして、幾度も繰り返される語り手の交代。それを通して、我々は徐々に気付く。二人の根底に流れる「愛情」は共通のもので、愛は一方通行ではないということを。そして誰にだって何にだって理由や過程があることを。
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