高校生のための国語のおすすめ30冊

勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版

勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版

評論 私のおすすめ30冊 とても読みやすい本 勉強=ボケとツッコミ!? 自分ための勉強を始めたい人へ

文春文庫(文藝春秋)

千葉雅也

勉強とは、わざと「ノリが悪い」人になることである

この本は、大学1年生向けに書かれたものらしい。だから、高校生が読むにはちょっと早いと思うかもしれない。いや、高校生だからこそ読んだらいい。

そもそも筆者は、フランス現代思想という私たちにとってたいへんよそよそしいものの研究者。そして、それをもとに「勉強とはどういうことか?」について哲学したものが、この本だ。開くと、「勉強とは自己破壊である」なんて変なことが書いてある。だから、大学生にだって難しそうだ。まして、高校生には……。

と思いきや、難しい言葉が使われることはほとんどない。もちろん、ちょっとは使われているのだけど、筆者の言葉は、ふだん使っている言葉で歌うかのように、軽やかなリズムに乗せて並べられていく。だから、少しくらい分からなくてもリズムに合わせて踊っていたらいいよ。

そのうち、彼の言葉の断片を君は口ずさめるようになってくる。すると、ページをめくる、そのたびにこの本のノリが心地いい。そう感じることもあるだろう。とくに、「最近なんだか周りのノリに合わせるのが面倒なんだよな」と感じはじめた、いかにも高校生らしい君には。

誰かに「勉強しなさい」と言われて始めるのではない、君による君自身のための「勉強」を始めよう。

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評論

講談社

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あなたの周りに”おかしな人”っていますか? 「でも、その『おかしさ』をつくりだしているのは……周りにいるぼくらのほうかもしれない」。おやっ、と思った人は、この本で「人類学」の勉強をしてみよう。