高校生のための国語のおすすめ30冊

人間の土地

人間の土地

小説 私のおすすめ30冊 星の王子さまの原形 宮崎駿に大きな影響を与えた

新潮文庫(新潮社)                     

サン=テグジュペリ (訳:堀口大學)

人間本質の探求

著者は、世界で聖書の次に読まれたという「星の王子さま」を書いたサン=テグジュペリ。その原形とも言えるのがこの「人間の土地」。彼は飛行機に乗りながら自然と闘い、その闘いの中で人間について深く思考し、それらを文字にして残した。この本の中で最も感銘を受けたのは次の一節。

「人間であるということは、とりもなおさず責任をもつことだ。人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩(じくじ)たることだ。人間であるということは、自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ。人間であるということは、自分の石をそこに据えながら、世界の建設に加担していると感じることだ。」

年を重ねるごとに、彼の唱える「人間であるということ」を忘れてしまう。そんな時には、この本を読み返す。人として本当に大事にすべきことを思い出させてくれる。著者はこの本の中でこうも言っている。

「真の贅沢(ぜいたく)というものは、ただ一つしかない、それは人間関係の贅沢だ。」

高校生活という特別な3年間。人生における贅沢を味わい尽くして欲しいけれど、心に余裕がなくなって、大切なものを見失いかけるときもあるだろう。そんなときに、是非、この本を手に取ってもらいたい。

次に読みたい本

砂漠

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小説

新潮文庫(新潮社)

伊坂幸太郎

「人間の土地」から感銘を受けた登場人物が、大学で出会った仲間たちと事件に巻き込まれていく物語。

旅をする木

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エッセイ

文春文庫(文藝春秋)

星野道夫

サンテグジュペリ同様、自然と生死をかけて向き合った男の文章。