中学生のための国語のおすすめ50冊

非・バランス

非・バランス

小説

講談社

魚住直子(うおずみなおこ)

<一つ,クールに生きていく。二つ,友だちはつくらない。>

小学5・6年生のときにいじめられた「わたし」は,転居して入った中学校で「二つのモットーをとなえつづけないと,生きていけない」という状況にある。親も教師も級友も知らないけれど,今でも夢の中でサトウユカリがいじめを繰り返し,思わず無言電話をしてしまう「わたし」。そんなとき「わたし」を自然に受け止めてくれた「サラさん」や,自殺を考えたことがある「増村みずえ」との交流を通して,「わたし」の日々は少しずつ変わっていく。

一度いじめられた者がどんな思いで生きていくのかが伝わってくるし,親にも友達にも話せない,悩みをもった者の危うい微妙な心の動きがリアルに描かれている。いじめにあった人だけでなく,心のバランスを失いかけている日々をもがいている人は読んでみてください。(Wさん)