中学生のための国語のおすすめ50冊

鳩の栖(はとのすみか)

鳩の栖(はとのすみか)

小説

集英社文庫

長野まゆみ(ながのまゆみ)

<中学生の登場人物が繰り広げる切ない物語>

操は,樺島のおかげで,くりかえした転校の中ではじめて,情けない思いをせずに学校生活を送ることができた。すっかり,樺島に頼りきっていた操が,樺島は,死の病と戦っていたことを知り,ショックを受ける。おおらかで頼りがいのある樺島が「無性に叫びたくなる」と弱音をはくのをきき,操は何もできない自分に無力さを感じる。……

表題の「鳩の栖」を始め,5つの短編からなる一冊。そのいずれもが,中学生の少年を主人公にした物語です。みんなと同じ,落ち着かない思いになりがちのこの時期に,じっと静かに自分や周囲の人を見つめる心も持ち合わせている。そんな登場人物に,共感しながら読み進められるお話ばかりです。(Oさん)