中学生のための国語のおすすめ50冊

エイジ

エイジ

小説

朝日文庫

重松清(しげまつきよし)

<「キレる」って言う言葉,オトナが考えている意味は違うんじゃないか>

ある日,エイジのクラスメイトが通り魔犯として逮捕される。騒然とする学校内,友人たち,マスコミ報道,家族のなかで,エイジは改めて自分自身について考えていく。

ドラマにはウソに聞こえるせりふが出てくるが,『エイジ』は同時代の中学生が読んでも違和感のない作品だ。何でもマジに考えるのはカッコ悪いが,いつもいいかげんに考えているのではない。親のことを「うざい」と思いながらも理解してる。

また,ごくありふれた日常と通り魔事件が,日常の中で実は紙一重の関係なのだと納得させられる。実行はしないけれど,頭には思い浮かんでくるという心理状態をリアルに描いている。そして,中学生のきみがもやもやして説明できない今の気持ちを「そうそうそんな感じ」と代弁としてくれる作品だと思うよ。(Wさん)