中学生のための国語のおすすめ50冊

きよしこ

きよしこ

小説

新潮文庫

重松 清(しげまつ きよし)

<ほんとうに伝えたいことだったら,伝わるよ>

初めて会った人たちの前で自己紹介をするとき,あなたはすらすらと言葉が出てきますか。「吃音(きつおん)」(どもること)を抱えた人たちは,そのような機会の度に,つっかえない言葉を瞬時に選んで慎重(しんちょう)に慎重に話そうとします。それでもうまく言葉が出てこないときには,それ以外の人にはとても理解できない程,厳しい事態に直面します。この物語は,そうした少年きよしの少年期から青年期を描いています。きよしは,様々な人たちとのかかわりを通して成長していきます。その中でだれかに手を差し伸べもらう術ではなく,自分一人の足で立って歩いていく力を身に付けていくのです。心の中にいる「きよしこ」という不思議な存在にじっと見守られながら。(Mさん)