中学生のための国語のおすすめ50冊

自分を信じる力

自分を信じる力

随筆

講談社

福岡堅樹(ふくおかけんき)

彼はなぜラグビー日本代表でありながら,最難関入試を突破できたのか。

 筆者は,2013年に大学2年生で日本代表に選ばれて以来,ずっとラグビー界のエリートとして華々しい活躍が伝えられてきた選手です。その活躍を知る人々は,この本を読んだあと,筆者のラグビー人生が挫折に満ちたものであったことに驚くことでしょう。繰り返し挫折に襲われ,時に悩み,くじけそうになりながらも,さまざまなやり方で競技人生をつづける筆者の姿は感動的です。

 その後も苦しいラグビー人生をつづけながら,「ワールドカップ出場」と「医師になる」という異次元の夢を両方ともかなえようとした筆者の考え方,努力の方法は,困難を生きる現代人のお手本となること間違いなしです。また夢を全て達成するのではなく,もう一つの夢であった2020年東京オリンピックの出場を辞退する(捨てる)経緯も読みどころの一つです。

 本書を読み,誰にとっても困難な人生の中で,何を“捨て”何を“大切”にすれば自分の可能性を拓くことができるのかのヒントをつかみとってもらいたいと思います。(Oさん)