中学生のための国語のおすすめ50冊

卵の緒(たまごのお)

卵の緒(たまごのお)

小説

新潮文庫

瀬尾まいこ(せおまいこ)

<家族と話,してますか?>

現代は、家族の絆が弱くなったと言われます。「卵の緒」に登場する一人っ子の育生は、自分が捨て子ではないかと思い、お母さんに「へその緒」を見せてくれとせがみます。その時、お母さんは育生にこんなふうに言います。「母さんは、だれよりも育生が好き。それはそれはすごい勢いで、あなたを愛してるの。今までもこれからもずっと変わらずによ。ねえ。他に何がいる? それで十分でしょ?」

結局へその緒を見せてもらえなかった育生もこの言葉で納得します。物語の終わりでは、育生に弟ができ… 優しい育生とお母さん、そして生まれてくる弟。読んでいるだけで心が温かくなる、そんな本です。(Hさん)