中学生のための国語のおすすめ50冊

春や春/南風吹く

春や春/南風吹く

小説

光文社文庫

森谷明子(もりやあきこ)

皆さんは,「俳句甲子園」を知っていますか。 生徒たちの十七音にかける情熱を感じてください。

 二つの作品を紹介します。「春や春」「南風吹く」。どちらも「俳句甲子園」を舞台にした物語です。同じ作者による作品ですが,「南風吹く」は,「春や春」に登場した高校とは別の高校の視点から描かれています。

 両作品とも,はじめは俳句に縁もゆかりもなかった高校生が主人公です。彼らは俳句を通して言葉と奮闘し,「言葉の価値」「言葉の面白さ」に気付いていきます。短い言葉の中に自分たちの思いを込め,表現していく楽しさ,難しさが,登場人物の熱い思いとともに,読者に伝わってきます。わずか十七文字に託された主人公たちの思いを,読者の皆さんも受け取ってください。

 なお,「俳句甲子園」は,実際に,愛媛県松山市で毎年開催されています。本書を読んでみて,近い将来,「俳句甲子園」の出場を目指してはいかがでしょうか。(Iさん)