中学生のための国語のおすすめ50冊

ラン

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小説

理論社

森絵都(もりえと)

<もっと,もっと体力をつけなければ。もっと,もっとつらいことも受けとめられるように。>

13歳で家族を交通事故で亡くし,20歳で奈々美おばさんとも死別してひとりぼっちになった夏目環(なつめたまき)。自転車屋の紺野(こんの)さんからもらった自転車「モナミ1号」で,ある日下界から冥界(めいかい)へ「レーン越え」をして亡くなった家族たちに会うことができた。ところが,「モナミ1号」を持ち主に返すことになり,これからは家族に会うために,自分の足で40キロを走破できる力をつけなければならなくなった。そこで,環は「イージーランナーズ」のメンバーになって,フルマラソンに挑戦することに。

走ることと生きること(メンバーのそれぞれの生き様)が重なって感じられたり,「生来の運動音痴」の環が少しずつ走れるようになる過程がすがすがしく思われたりするところがおもしろいよ。生と死,つまり生きることってどういうことかを森絵都ワールドにひたりながら考える小説かな。(Wさん)