中学生のための国語のおすすめ50冊

オサムの朝(あした)

オサムの朝(あした)

小説

集英社文庫

森 詠(もりえい)

<それじゃ,まるで捨て猫だんべ>

今から半世紀前,少年たちの生活の中にはテレビゲームもコンビニもありませんでした。しかし,彼らは小川やかじかや土蜂(どばち)や神社の杜(もり)に全身で接しながら毎日を過ごしていました。そこには,お金では買えない楽しみや冒険が満ちていたのです。大人たちも,自分たちが生きていくことに必死で,子どもにあまり手をかけられませんでした。そうした時代の栃木県の田舎で,修は少年期を過ごします。画家の父親に生活力がなかったため,やがて一家は離ればなれになってしまいますが,修少年は苦しみながらもたくましく生きていきます。作品を通して当時の生活を味わってみてください。きっと,今の時代にはないものがたくさん見つかりますよ。(Mさん)