中学生のための国語のおすすめ50冊

花まんま

花まんま

小説

文藝春秋

朱川湊人(しゅかわみなと)

<うち,どうも昔,繁田喜代美やったらしいんやわ>

「生まれ変わり」という言葉を聞いたことがあるでしょう。でも,あなたは本当のこととは思ってはいないのではないでしょうか。妙に大人びたところのあるフミ子は兄に,自分は彦根という町で育ち,不慮(ふりょ)の死をとげた女性の生まれ変わりだと告げます。フミ子にいわれるまま彦根まで一緒だった兄は,喜代美の死を悲しむ家族の姿を目の当たりにして,妹のフミ子が貴代美の生まれ変わりといって名乗り出てよいかどうか。自分の母や亡き父のことを思い浮かべ,頭を悩ませます。

科学的に証明されたことは本当で,そうでないことは本当ではない。こうした考え方に,私たちはいつからこれほどがんじがらめになってしまったのでしょうか。この本に収められた物語は,科学的に証明できない真実を描いてみせてくれます。(Mさん)