中学生のための国語のおすすめ50冊

晩年の子供

晩年の子供

小説

講談社

山田詠美(やまだえいみ)

<子どもから大人への成長>

子どもから大人に成長していくときに,考えることがこの本の中にはつまっています。「愛するってどんな気持ちなんだろう」「切なさってなにから生まれるんだろう」「死を受け止めるってどういう気持ちなんだろう」。育ち盛りは知りたがりです。

この本の主人公たちはそれぞれが知っていきます。そして気づかないうちに,読んでいる私たちも知っていきます。読んでいるときはとてものんびりほんわかしたお話。けれども読み終わったあと心に残るのは,知りたかったことを知った喜びだけではありません。最後に自分自身と作品の主人公にささげる切ない笑いが「ふっ」と出てしまう。そんな作品です。(Mさん)