中学生のための国語のおすすめ50冊
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本所深川ふしぎ草紙
小説
新潮文庫
<さすが,十年に一人の逸材(いつざい)!>
ある日,寿司屋「近江屋」の主人,藤兵衛が殺されました。犯人は,藤兵衛の娘,お美津ではないかとうわさがたちます。幼い頃,お美津に店の残り飯を食べさせてもらって飢えをしのいでいたそば屋の奉公人,彦次は,優しいお美津が犯人であるはずがないと信じ,岡っ引の茂七に協力して事件の真相を探ります。その中で彦次は,欲深いと非難されていた藤兵衛が,お美津以上の思いやりの持ち主であったことを知り……。全部で7話の短編が収められていますが,どの作品も,「十年に一人の逸材(いつざい)」と言われている作者の巧妙な語り口で一気に読まされてしまいます。落ち着いた,後味の良い良質のミステリーです。(Hさん)