中学生のための国語のおすすめ50冊
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孤宿の人(こしゅくのひと)
小説
新潮社
<純真な少女は御仏に会った。人の身の内におわす御仏(みほとけ)に… 宮部みゆきが織りなす時代物語の傑作>
身寄りのない幼い少女「ほう」がたどり着いたのは四国、讃岐(さぬき)の小藩である丸海藩。そこへ、偉いお役人だった加賀殿(かがどの)が、江戸から流人となって流されてくることになりました。妻子や家人を殺害した加賀殿は「鬼」であり「祟(たた)る」のだと言います。
この加賀殿を隠れ蓑(かくれみの)として利用し、様々な人々が、様々な思惑で動き出します。「ほう」が世話になっている藩の医者である井上家の娘の不可解な死。罪のない人々のいわれのない死。度重なる雷雨や病。それらは本当にすべて「鬼」の加賀殿のせいなのでしょうか。純真無垢な「ほう」を中心として、丸海藩のお家騒動とそれに振り回される人々の様子が描かれます。
物語の終盤、ほうが「宝」の「ほう」になり、「鬼」の加賀殿が「神」になる展開は言いようのない優しさに包まれます。(Tさん)