中学生のための国語のおすすめ50冊

星々の悲しみ

星々の悲しみ

小説

文春文庫

宮本輝(みやもとてる)

<切なさの向こう側にかいま見る「青春」という時代を生きる人の輝き>

「俺は犬猫以下の人間や」と病気で苦しむ友人の有吉がつぶやく。「ぼく」はそれを聞き,恐怖と悲しみに沈む。医大を目指す優秀な予備校生で二枚目の有吉の死後,「ぼく」は「死」ということが頭から離れず,思い悩む。そして有吉が自分の死をどのようにとらえ,受けいれたのかについて答えを探していく。

でも,決して暗く悲しいだけの話ではないんです。自由な夢を抱きながら,それでいて自分なりのこだわりを持ち,時に異性に心ひかれ,時に大たんなこともしでかしてしまう…,それが今,君がさしかかった「青春」という時代の特徴かもしれません。その時代を生きる人の姿の輝きを,それぞれの切なさの向こう側にかいま見ることのできる一冊です。(Oさん)