中学生のための国語のおすすめ50冊

羽の音(はねのおと)

羽の音(はねのおと)

小説

理論社

大島真寿美(おおしまますみ)

<骨がぎしぎし鳴るたびに,焦るようになった。しかし,焦ることはないのだろうと,今,思った。むくむくを待つことにする>

出社拒否の姉と登校拒否の私のスローライフな一か月(一九九九年一二月一日~三一日)が語られている。

両親の離婚で姉妹二人暮らしの花保と菜生。作品の中では,離婚した両親から生活費も学費も出してもらっているので,生活のにおいがあまりしないが,そのために「生きること」をストレートに考えられる。隣人だった透樹に対する思慕を断ち切れないと気づいて,婚約を破棄して中国に旅立つ姉。その姉の生き方を見つめながら,ミキオへの思いに気づいていく私。

自分探しをしているあなた。「生きること」の根幹をこの作品を読んで考えてみるのもいいんじゃない?ひょっとすると,あなたが苦しんでいることは「羽化(うか)する直前の微熱」なのかもしれないよ。(Wさん)