中学生のための国語のおすすめ50冊

実りを待つ季節

実りを待つ季節

随筆

新潮文庫

光野 桃(みつのもも)

<ああ,わたしはこうされたかった。ずっと頭をなでられたかった。>

皆さんは,お父さんのこと好きですか。毎日よく話すという人もいれば,近ごろ会話の機会が少ないという人もいるでしょう。特にあなたが娘の場合は,今までうまくいっていたのに,このごろ急に,父親に腹が立ったり,ダサく思えてきたりしてきたという人も少なくないのではないでしょうか。この連作集には,そんな決して特別でない娘の父への思いが,何十年にわたる人生の様々な視点から描かれています。娘のもも子は,進学し,就職し,結婚して親となることを通して,父の愛情を次第に実感できるように成長していきます。今,父親なんかと口も聞きたくないと思っているあなたに,ぜひ読んでほしい作品です。(Mさん)