中学生のための国語のおすすめ50冊
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死神の精度(しにがみのせいど)
小説
文春文庫
<私が仕事をするときは,いつも雨が降る>
もしもあなたが雨の日に,CDショップで一心不乱にミュージックを視聴している手袋をした人を見かけたことがあるのなら,それは死神だったのかもしれません。
死神の仕事は,担当となった人物を一週間調査して,その人の死に可否の判断をすること。「見送り」と判断された人はそれまでと変わらない毎日が続いていきますが,「可」と判断された人にはその次の日に「死」が実行されます。そんな死神は,ミュージックをこよなく愛しているのです。
クレーマーに悩む女子社員,吹雪(ふぶき)の洋館に閉じこめられた家族,逃走中の殺人者。さまざまな境遇の人に訪れる,千葉という名前の死神。はたして千葉が下す判断は…。
仕事をするときにはいつも雨が降るという死神「千葉」が見た,人間たちのおもしろさ。各章が別々の物語になっている短編集のような構成,最終章で絡み合う意外な伏線など,読み手を飽きさせない工夫も満載のお勧めの一冊です。(Sさん)