中学生のための国語のおすすめ50冊

ニライカナイの空で

ニライカナイの空で

小説

講談社文庫

上野哲也(うえのてつや)

<あげな父ちゃんたちやけど、俺たちがついててやろ>

お父さんやお母さんを尊敬してますか。たいていの人はいろいろ文句を言いたいのではないでしょうか。主人公の新一は,父の破産によって,ある日突然,東京から一人きりで九州の炭坑で働く野上源一郎という恐ろしげな男の家に預けられることになります。そんな心細さの極致の中で,野上の息子の竹雄と心を通わせ,炭坑町での日々を送っていきます。新一にも竹雄にも話の分かる優しいお父さんなどいません。どこにいるのか分からない父,あるいは子どもの言い分などいっさい聞く耳を持たない父。しかし,それでも子どもたちはまっすぐに成長していくのです。もしかすると,そんな父ちゃんたちであったからこそなのかもしれません。(Mさん)