中学生のための国語のおすすめ50冊

人は何で生きるか

人は何で生きるか

説明文

あすなろ書房

レフ・トルストイ 北御門二郎訳

地上に降ろされた天使がたどり着いた「人が生きる」ことの答えとは。

 神様に背いた罰として地上に降ろされた天使ミハイル。ミハイルは神様に「人の中には何があるのか? 人に与えられていないものは何か? 人は何によって生きているのか?」の3つの問いを解いてから天に帰るよう命じられます。

 そして地上で貧しい靴屋の店主セミヨンと出会い,セミヨンとの生活の中でミハイルはついに3つの問いの答えを見つけます。その答えを読み解くことで,皆さんにとっても「自分が生きること」を考えるきっかけになると思います。

 作者は「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」で有名なロシアの文豪トルストイです。トルストイは日露戦争が起こった際,人と人が殺し合うことの愚かさを訴えたことでも有名です。ちなみに訳者は第二次世界大戦中「絶対非暴力主義」を貫き徴兵(ちょうへい)を拒否した北御門二郎氏です。自分の人生をかけて戦争の愚かさを訴えた二人の著者にも注目の一作です。

 本書は民話を題材にしていますが,世界の名言を集めたトルストイの「文読む月日 ちくま文庫」もおすすめです。(Oさん)