中学生のための国語のおすすめ50冊

少年

少年

小説

新潮文庫

ビートたけし(びーとたけし)

<少年にとってはそれが全てだった。だから,全身でぶつかっていった>

「このレースのためにドテラを着こみ,アワを吹いても,熱で体に震(ふる)えがきても,倒れるまで走ろうとしたカラバカの根性に涙が出るくらい感動した。」

人から見たら,ちっぽけな望みかもしれないが,少年にとってはそれが全てであった。だから,運動会の徒競走に対しても全身でぶつかっていった『ドテラのチャンピオン』。君にも,そんな経験があるかもしれませんね。自分の思いがかなわないことだってある。でも,自分一人の力でかなうこともある。そうして得た小さな自信のようなものを積み重ねて,人は自分の世界をつくっていくのかも。

他に,逆境の中でたがいを思いやった兄弟の切ない結末を描く『星の巣』。初めての一人旅で経験した運命的な出会いをつづった『おかめさん』。『少年』は,これら三つの話からできている短編集です。(Oさん)