中学生のための国語のおすすめ50冊

パパラギ

パパラギ

説明文

学研プラス

エーリッヒ・ショイルマン岡崎照男【訳】

今、私たちは豊かな生き方をしているだろうか?

 「パパラギ」とは南太平洋の島サモアの言葉でヨーロッパ人のことを指しています。しかしこの言葉は、私たち日本人も含め、現代社会を毎日忙しく生きている人々を指すと言ってよいでしょう。この本では100年以上前、サモアの酋長がヨーロッパを旅したあと、島民に向かって演説した内容が書かれています。そこでは、私たちが使う時計は「小さな丸い時間機械」、お金は「丸い金属と重たい紙」と呼ばれます。彼らの目から見た文明社会はひどく滑稽で愚かに見えるようです。演説の中で発せられる言葉の数々は痛快で、思わず笑ってしまいますが、同時に私たちの生きる社会について深く考えさせられます。

 この本は単なる文明批評の本ではないと思います。自分たちが正しいと思っているもの、信じているものを異なる視点で見た時の驚きが、私たちの生き方を豊かなものへと変えるきっかけとなるでしょう。これからの社会をつくっていく皆さんにぜひ読んでもらいたい一冊です。(Sさん)