中学生のための国語のおすすめ50冊

鷹のように帆をあげて

鷹のように帆をあげて

小説

講談社

まはら三桃 

困難を乗り越えた先には、広々とした世界が広がっている。涙なしでは読めない感動の物語。

 一羽の鷹。威風堂々と気品に溢れるその姿を見た理央は、鷹匠を目指す決意をします。ある事件がきっかけで時が止まってしまった理央をはじめ、さまざまな登場人物が、鷹の成長と自分を重ね合わせ、自分の中の何か大切なものを見出していきます。

 「風はいくつもの目に見えない層でできているという。鳥はその流れを利用して、高く高く上がっていく。うまく上昇気流をつかまえれば、はばたかなくても飛んでいられる。」風の層を超えることは容易ではないが、超えた先は、どこまでもどこまでも飛んでいける――そんな鷹の飛び方、生き方は、私たちに何か訴えかけているようです。読み終えたとき、鷹のように翼を広げて大空を飛んだような心地よさが、きっと胸に広がっているはず……。