中学生のための国語のおすすめ50冊

沈黙

沈黙

小説

全国学校図書館協議会

村上春樹(むらかみはるき)

<自分のことをだれ一人として信じてくれなくなったら,あなたはどうしますか?>

大沢さんは中学2年の時,同級生で優等生の「青木」という男を一度だけ殴ってしまったことがあった。それがもとで高校3年の夏休みから高校を卒業するまで,クラスメートや先生たちに,いわれのない疑いをかけられ,クラスメートからも先生からも無視され続ける。ある日乗り合わせた電車の中で,大沢さんは,青木には「深み」というものが完全に欠けていることに気付く。青木のような男に負けたくないと感じた大沢さんは,5か月間,だれとも一言も口をきかないまま,一人黙って耐え抜くのである。しかし,大沢さんは言うのだ。本当に怖いのは,青木のような人間ではなく,青木のような人間の話を無批判に受け入れて,そのまま信じてしまう連中であると。あなたの周りではそういうことありませんか?(Tさん)