中学生のための国語のおすすめ50冊
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砲撃のあとで(ほうげきのあとで)

小説
集英社文庫
<残酷(ざんこく)な無邪気さで描かれた大戦直後>
1945年第二次大戦の末期,ソ連の突然の参戦によって中国の満州(中国東北部)は大混乱におちいり,日本は無条件降伏をする。そんな多くの困難の中,日本へ戻ろうとする人々の姿を,少年の視点からとらえた連作小説集です。描かれているのは,引き揚げ者の凄惨(せいさん)な経験と呼べるものだと思います。そこには人々の極限状態で生きる姿や死にゆく姿など,痛みをともなった現実がそのまま語られています。「少年」は,そうした包み隠しようのない人間社会の現実を体感しながら成長していきます。確かに大変な状況であったと思います。しかし,現代と比べてみても,そこには人が生きようとする姿が,何と豊かな光彩を放ちながら展開されていることでしょうか。文章も,時を隔てても朽(く)ちることのない詩情あふれるものです。(Mさん)