愛知の文学

土は生きている

作品地域分類作者
土は生きている 瀬戸市 随筆 加藤唐九郎(かとうとうくろう)

加藤唐九郎は,瀬戸(せと)の地の象徴的な存在ともいうべき著名な陶芸作家である。明治31(1898)年に愛知県瀬戸市に生まれ,少年期から父祖伝来の陶芸技術を受け継ぎ,卓越した才能を存分に発揮し,名声を不朽(ふきゅう)のものにした。古窯の発掘調査をする傍ら,織部(おりべ)・黄瀬戸(きぜと)・志野(しの)の現代への再現を実現するなど,その業績ははかり知れないものがある。昭和60(1985)年に死去。
この随筆は,そうした彼の陶芸にかける気迫が,「土」へのあくなき探求の形をとって,みごとに表現された秀作である。

「あるテーマの小説に必然的で適切な文体は,一つしかない」という言葉を引用して,陶芸における土の個性をつかむことの重要性,大きくは芸術に対する考え方を説いている。

  • 翠松園陶芸記念館
    (名古屋市守山区)

作品

名器は土の個性の表現   土に生きる
土は生きている。生きているから土に個性がある。陶芸は土の個性の表現である。土は自らの個性にしたがって,自らの形を,かたちづくる。