愛知の文学

釈迢空

作品地域分類作者
雪まつり 北設楽郡 短歌 釈迢空(しゃくちょうくう)

釈迢空は明治20(1887)年に大阪府で生まれる。本名の折口信夫(おりくちしのぶ)の名も,民俗学の立場からの国文学研究者として有名で,その視点からの歌も多い。アララギ派の歌人として出発したが,のちに北原白秋(きたはらはくしゅう)と歌誌「日光」を創刊した。歌集『海やまのあひだ』,詩集『古代感愛集(こだいかんあいしゅう)』などがある。昭和28(1953)年に死去。

迢空は,北設楽郡の山間の村々を訪れ,古風な舞や古代人の激情を伝えた雄々しくも優雅な「花祭り」に感動し,これを「雪まつり」の題で歌にしている。ここにも民俗学の視点がよくうかがわれる。歌集「春のことぶれ」に収められている。

  • 花祭り(北設楽郡東栄町)
    花祭りは五穀豊穣(ごこくほうじょう)や無病息災(むびょうそくさい)を願う神事芸能で,その起源は遠く鎌倉時代にまでさかのぼる。当時この地を修行の場として活躍した山伏(やまぶし)や修験者(しゅげんじゃ)たちによって伝えられたとされ,現在,東栄町(とうえいちょう)11,豊根(とよね)村5,津具(つぐ)村1の計17の地区に伝承されている。祭りは11月〜翌3月までの厳冬の時期に各地区で行われ,全国の神々を招いて数多くの神事と舞を一昼夜にわたって奉納(ほうのう)する。