アクティブ地理 インタビュー特集

中部地方

先端技術でロケットを宇宙へ送り出す

三菱重工業株式会社

インタビュー

H2Aロケットです。他にも,ボーイング社の飛行機の部品の製造,カナダのボンバルディア社の飛行機の中胴と主翼の製造,防衛省のヘリコプタや航空機の組み立てを行っています。

リベットのような細かい部品を1点1点数えた場合,約100万点です。最新型のH2Bロケットは,H2Aより部品点数が多く,百何十万点です。

日本でつくられたものが多いです。電子機器類は関東からが多いですが,それ以外の大部分の部品は,この近辺の工場でつくられています。

名古屋市内にある研究部門で,材料や空気力学を研究。開発は,同じく名古屋市内にある技術部門で図面をコンピュータによる製図機で作成し,それを製造部門で試作します。よりつくりやすい形状を模索するために試作品を技術部門に戻したりと,技術部門と製造部門でやりとりしながら行っています。

事例はたくさんあります。最先端の産業は,一般の産業の10年20年先を行っています。例えば,複合材。複合材とは,炭素せんいを樹脂で固めたもので,金属より軽くて強い特徴があります。F2(戦闘機)の主翼はすべて複合材でできていますが,これの成形,穴あけ,切断の技術などは20年以上前に開発され,現在のボーイング787,MRJ(飛行機)などに生かされています。また,直接技術を教えるわけではないのですが,三菱からの発注を請け負う工場などに技術が伝わり,例えば自動車の車体に軽くて強い複合材が一部使用されつつあります。
工具メーカーも,三菱からの高い技術要望によりステップアップして,複雑な形状のものがつくれる工作機械を作成できたりしています。航空産業は機器類などにも非常に高度な技術を要求しています。

岸壁が近くにあり,アメリカ,カナダ,ロケット発射場のある種子島などへ,船での輸送に便利です。
また,愛知県あるいは中部地方には,世界を代表する技術を持つ工作機械・工具のメーカーが数多くあり,高い技術力を持つ部品製造の担い手が多くあります。自動車産業がさかんなので,工作機械工業が発展していると思います。

一つひとつを確実にやっていくことです。100万もある部品の,材料の材質・品質の検査・確認から始まり,機械で削る場合,その削るプログラムが正しいものであるか,粗く削った後で削り具合の検査,細かく削った後で削り具合の検査,その後,熱処理の後,表面処理の後,塗装の後,それぞれで検査を行います。だいたいひとつの部品につき5~6回くらい検査を行います。それが100万個分。
組み立ての場合も,それぞれの工程で検査。人が乗るものであるので,品質・安全性を確保するためです。
また,ロケットを完成させた後,衛星分離までの試験を電気的に行っています。打ち上げ直後,横風を受けますが,電気的に横風を起こし,エンジンが正しくゆれ動くかなど,あらゆる試験を行います。
部品生産から本体の完成まで約2年かかります。約2年のうち,半年ほどは試験に費やす時間です。「一歩一歩の積み重ね」といわれます。

開発に携わったとき,人がやらないことをしたとき,やりがいを感じます。できたときの達成感が非常に大きいです。
また,ロケット,飛行機については,でき上がったものが打ちあがったり,初フライトしたとき,非常に大きな喜びがあります。感動で涙が出ます。